as quick as lightning(エルさんとのコラボ企画)


人々が眠りにつき、静寂に包まれる真夜中。

雲に覆われた空と、時折差し込む月明りが妖しくも美しい日だった。

そんな月明りさえも差し込まない、暗く深い森の中。

たまに微風が吹く程度のその場所で、


『ガキィィィィ………ィイーーーンッ!!』


疾風を巻き起こし、研ぎ澄まされた武器を構え、

殺気と共に牙を剝く2つの影があった。

片方、長い金髪に茶色い獣の尾と耳を携え、両手には禍々しく巨大な爪を構える、

鋭くもどこか儚げで美しい青年。

対するは、鈍く輝く銀の刃、黒い帽子に黒いマント、背には身の丈以上の刀身、

不気味な御面で素顔を隠した不気味な男。

異なる外見、異なる武器、されど共通点が1つ。


『シュッ……!!』


『カタタタタタッ!!』



両者、どちらもイレイザーであった。


『ブォンッ………!!』


影に潜み、闇に生きる2人の抹殺者。

空を裂き、喰らい付き、刃を振り下ろす。

暗闇に包まれた空間で、視ることが困難な状況で、音さえ追い付かない速さで、


『ザァッ……』


沈黙を保ったまま、2人の男は人知れず闘っていた。

「………」

「………」

2人に面識はない、敵でもなければ味方でもない。

偶然、同じ時に同じ場所に居合わせただけだ。

そんな2人が何故、闘っているのか。

理由は至ってシンプルだ。



相手は強い。

故に、挑みたい。




人はおろかモンスターさえ寝静まったこの場所で、

男達は遇い見えた瞬間、相手を見つめ、武器を構え、

微かな風で舞い上がった木の葉がふわり……と地面に落ちた瞬間に駆け出した。

僅かな死角から襲い掛かるクローの一撃と、それを最低限の動きで回避。

回避した勢いのまま突き上げられる短剣、瞬時に回し蹴りで弾くと共に距離を取る。

呼吸を整える間も与えず、どちらかが仕掛ければ防ぎ、そして仕掛け返す。

そんな攻防に始まった闘いは、果たしてどう終結するのか………。
















2時間は過ぎただろう。

今、2人の男は沈黙の中で対峙していた。

どこか、不機嫌そうな視線を送りながら………。

「………おい」

そんな沈黙を破ったのは、御面の男であった。

男の不意の一言に、青年…ネイリの耳はピクリと反応する。

「………」

「こちとら餓鬼の遊びに付き合う気ぃはない、やるならもっと本気で掛かって来ぃ」

その口調は酷く荒々しく無作法で、お世辞にも感じの良いものとは言えなかった。

しかしネイリは表情一つ変えないまま、その言葉をじっと聞いていた。

「………だんまりか」

少々呆れ気味にそう呟くと、男は小さな溜息を




『パキィンッ!!』




………溜息を、零すと同時だった。

その砕ける音は、突如として辺りの空気を一変させた。

はらりはらり、顔を押さえる右手の隙間から、御面の破片は零れ落ちる。

割れた隙間から覗く灰色の眼は、対峙する青年をじっと睨みつけていた。


『刹那』

発動の瞬間に間合いに入り、一撃必殺とも成り得る攻撃を与える

イレイザーの攻撃スキルである。


回避したとはいえ、相手に攻撃の隙を与え、寸前まで反応することが出来なかった。

その事実が男に、クレノーンに与えたのは



相手を少々侮った己自身への憤怒と、

確固たる強さを示した青年への期待だった。




面白い。

クレノーンは内心、笑みを零した。


『ッカァン!!』


しかし、表には決して表さず。

砕けた御面を乱暴に投げ捨てたクレノーン。

そして一層に殺気立った瞳は相手に向けたまま、背負った刀に手を掛ける。

対するネイリは、鋭さを増した殺気に、微かに逆立つ尾を鎮めるかのように構え直す。

今度こそ、互いに本当の意味での真剣勝負になるやもしれない。

張り詰めた糸のような緊張が、

時の流れすらも繫ぎ止めているかのように辺りを張り巡る。

その先にある、勝利を手繰り寄せるのは果たして……



「タ~ヌキ~~~ッ!」



果たして……


「……?」

「………」

緊張の糸を容赦なく引き千切る、あどけない声が木霊する。

2人は声のする方へ同時に顔を向ければ、

「「……………」」

思わず2人は固まった。

そこには茶色いバスケットを抱えたまま走るタイニーと、

それを追い掛けるウメボアの群れ。

そんな、異様な光景が広がっていた。

「……聞いてみるが、あのクマ公は知り合いっちゅーことでえぇんかのぉ」

「…………はぁ」

ネイリは返答の代わりに溜息をつく。

「タヌキータヌキー!ボク、ちょーっとだけピンチかもー!

 手を貸してくれると嬉しいなーっ!!」

本来、あのタイニー…正確にはタイニーゼロは、

ウメボアくらいなら容易に倒せるだけの実力を兼ね備えている。

その筈なのに、何故か追われている。

そもそも、どうしてこの場所に居るのか。

あらゆる理由が分からない。

分からない、がこのまま見捨てるわけにもらしい。

仕方ない、と言わんばかりにネイリはウメボアの群れへと向かおうと……



『ピシィンッ…!』



「……!」

身体が動かない。

何故、一体何が………

「悪いの、ちぃとばかし動かんときぃ」

身体の自由を奪った犯人、それはクレノーンであった。


イレイザーのスキル技の1つ、相手の自由を一時的に奪う技『影縫い』


何の為にスキルを、しかし今はそれ所ではない。

このままでは、タイニーゼロの身が危ない。

ネイリに僅かな焦りと苛立ちが見える。

そんなことは気にもせず、クレノーンは涼しい顏でネイリに背を向ける。

「………それ以上は、間合いじゃけーのぉ」


『シャリンッ………』


背負っていた長い刀剣をすらりと抜いた。

クレノーンは正面を向き直し、一呼吸置き、

その場で軽く弾みを付け、音を立てずに駆け出した。

そして、




『シュンッ………!!』




一瞬、空を裂く音と青白い一閃が辺りに広がる。



かと思えば、ドサッドサッと重々しい音があちらこちらから聞こえてくる。

顔を伏せていたタイニーゼロは、ゆっくりと顔を上げた。

するとそこには、先程まで自分を追い掛けていた筈のウメボアの群れが、

1匹残らず倒れている光景。

そして、目の前に自分を庇うかのように立ち塞がる黒い服の男。

状況はよく分からないが、助かった、ということは確かなようだ。

「……えっと、おじちゃんはタヌキのお友達?」

「………いや」

刀を鞘に納め、クレノーンは質問に対し、目線を合わせるようにしゃがんで返答する。

「違うの~?あ、ボクはタヌキのパートナーだよぉ~よろしくね~」

「ほぉか……」

「ボク、タヌキに差し入れしようと思ってここまで来たんだけど、

 暗くてよく見えなくって………

 間違えてウメボアの寝床に迷い込んじゃったんだぁ。

 大事な差し入れだから守らなきゃって、

 そうしたら手が塞がっちゃって戦えなかったのぉ~。

 でも、おじちゃんが助けてくれて助かったよ~ありがタイニー!!」

「………おいちゃん、別になんもしとらんぞ。

 勝手に助かっただけじゃ、運が良かったの」

「そうなのぉ~?」

「………ほれ、さっさと差し入れとやら渡して来ぃ。向こうで待っとるぞ」

「あっ!そうだった、タヌキー!!」

「………」

影縫いが解除され、身体の自由が戻ったネイリは、

先程より1人と1匹の会話を離れた位置で見守っていた。

事態の収束、そして相手に戦意が無くなったことを察し、

自身もまた構えることを止めたようだ。

とてとてっ、と近付いたタイニーゼロは「はいっ」と、

先程から大事そうに抱えていたバスケットを差し出してきた。

ネイリはそれを受け取ると、蓋を開けて中を確認する。


甘い香りが鼻孔をくすぐるそれは、どうやらチョコケーキのようだ。


「あのね、最近タヌキは夜に1人で修行に行っちゃうでしょ?

 ボクも何かお手伝いできないかなって思ってね、お姉さんに相談したら

『応援をしに行ってあげるだけでも、きっと力になれると思うよ?

 あ、丁度良いや。少し早いけど、よかったら2人で一緒にどうぞ』


 って、貰ったんだぁ~」

「………」

「疲れた時には甘いものが必要だもんねぇ~。

 ボクも疲れちゃったし、一緒にたべよ~♪

 あ、おじちゃんも一緒に……」

思い出したかのように振り返れば、クレノーンは懐からキセルを取り出し、

一服している最中だった。

「……やれやれ」

「あれ、おじちゃんどこ行くのぉ?」

「……興が醒めた、帰る」

「え~?帰っちゃうのぉ~?ケーキあるよ~?」

「いらん」

「えぇ~~~」

「………」



「………おい」



その時、初めてネイリはその場で声を発した。


呼び止められたクレノーンは、スッ…と思わず歩みを止めた。

そんな男の足元へ駆け寄ったタイニーゼロは「はい、これ~」と、

ある物を差し出した。

「……ケーキはいらん言ぅた筈じゃが」

「お礼だって~。タヌキ照れ屋さんだから、ボクが代わりにお届けだよぉ~」

「礼をされることはn「いいから受け取れ」

淡々とした言葉。しかし、じんわり感じられる威圧感。

甘いケーキとは対照的な、まるでコーヒーの如く、その一言は酷く苦いものだった。

そんなに何を怒っているのか…そう不思議そうに思いながら、

男はこの予想外の事態に少し考えた。

考えて、火に油を注いでも面倒で疲れるだけ、と内心呟き、

黙ってケーキを受け取ることにした。

男がケーキを受け取る様子をじっと覗うネイリと、

そんな青年の視線に気付き、視線を移すクレノーン。

互いに戦意は感じられないものの、まだ何処か緊迫したような沈黙。

しかし、自ずと2人の口は動いた。

「………次は、決着を付ける」

「………今以上に強くなれ、小僧」

そんな短い言葉を交わすと、

クレノーンは手掴みのケーキをかじりながら、2人に背を向けた。

そして、そのまま夜の闇へと姿を消していった……。




















「………」

「タヌキ、今日はいつも以上にだんまりだねぇ。

 どうしたの?お腹痛い?」

「……違う。ただ、自分の言葉に驚いていただけだ」

「ん~?何がびっくり驚きだったのぉ?」

「それは………いや、なんでもない」

「そっかぁ。ねぇねぇ、それよりタヌキはあのおじちゃんとケンカしてるの?

 仲悪い?」

「………いや」

「じゃあ、お友達?」

「………違う」

「えぇー?じゃあ、どういう関係なのぉ~?」

「………」

「ねぇ~ってば~」

「………ただの」







「ただの、好敵手というやつだ………ただし。


 お前が来る前は……だがな」










~あとがき~

はい、皆様お久しぶりです(`・ω・´)
今回は今進めてる話から少し寄り道しまして、コラボ第2弾をさせて頂きました!
コラボして下さいましたのは、相互ブログ『夢の中へ繋がる世界』
エルさん、そしてErのネイリ君とタイニーゼロちゃんです!
本当にありがとうございましたヾ(*´∀`*)ノ{めっちゃ楽しかったです!
ネイリ君達について気になりましたら、URLよりエルさんのブログへワープ、
しかとその魅力を堪能して頂ければと(

今回のコラボは、キャラクターさんをお借りして書かせて頂いた、
といった具合でしたが、本当に好き勝手書かせて頂いてしまいました…;
こういうバトルシーンが好きで、男同士の決戦…というのも好きなので、
少し張り切り過ぎてしまいました(苦笑)
ちなみに、タイトルの「as quick as lightning」とは「疾風迅雷」
事態の変化が急なこと、を意味する四字熟語より付けました

あぁ、今回もまともなあとがきにならなかった…(´・ω・`)
しかし、長引いても申し訳ないので、この辺でお開きです。
読者の皆様、そしてコラボして下さったエルさん、
おいちゃんに付き合ってくれたネイリ君とゼロちゃんも、
皆様本当にありがとうございました!!
楽しんで頂けましたでしょうか…?
もし楽しんで頂けたのなら嬉しいし、良ければ感想など待ってます!
それでは、今回はこれにてーまた次回ー(。-∀-)ノシ

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ノーメロディー・ノーライフ

(「不思議の街の、少女と神、と…?」の続きです)




エラトス顔14
エラトス「おーっし、聞き込みだぁーっ!!」

カナデ顔3
カナデ「聞き込みだー♪」

エラトス顔9
エラトス「まずはー…」




ss20170617_231117.jpg
シーホース「お久しぶりです、エラトス様………あら?
      でも随分と小さくなられたような…髪も黒いですし…え?
      不思議な音と、弦の音…?
      いえ…素敵な音色は毎日聞いておりますが、
      特別変わった音は、心当たりがありませんわ…」




エラトス顔9
エラトス「初手はハズレだったなぁ」

カナデ顔1
カナデ「仕方ないよ、いきなり答えに辿り着けるとは思ってなかったし」

エラトス顔13
エラトス「よし、次の場所へ向かうぞ」




ss20170617_230432_00.jpg
アルケー「ごきげんよう、エラトスさん。それと、可愛いお客様も。
     今日はどういったご用件かしら?
     ………なるほど。不思議な音、確かに興味深いですね。
     でもごめんなさい、残念ながら私も知らないわ。
     ところでエラトスさん、随分と小柄になりました?」




カナデ顔1
カナデ「ヴァイオリンをあんな風に使う人、初めて見た…」

エラトス顔13
エラトス「良い子はマネしないでね案件だからな、深く考えるな。
     次いくぞー」




ss20170617_230329.jpg
オリヴィア「んー…先輩の髪が黒く短くなった理由も気になるところですが、
      その音というのも気になりますねー。
      かんぱにーには、そういった依頼は来ていませんし、
      私達も聞いたことないですねー」

クロノス「新しい神魔やアルマの話もないし、
     こちらから提供できる情報は無いわね。
     何かわかったら、また追って連絡しよう」




エラトス顔9
エラトス「悪いな待たせて、まさか仕事を投げられるとは…。
     今日は非番の筈なんだがな、ノーデンスめ…」

カナデ顔9
カナデ「大丈夫だよ、これからこれからー♪
    ………あ、次の場所ってここ?」




ss20170617_230840.jpg
フォルテ「あ、エラトス君!…なんだか疲れてるね、大丈夫?
     え?そんなことより、変わった音について知らないか?
     うーん………俺もライオ君も、ローレライさんも知らないってさ。
     力になれなくてゴメンね?
     あ、そうだ!せめてイメチェンのお祝いも兼ねて1曲…」




カナデ顔2
カナデ「うーん、やっぱり歌うのってサイコー!
    音楽が好きって想いが溢れて、最高の時間だったね♪」

エラトス顔12
エラトス「確かに良いコンサートではあったが、根本を間違えるなよ?
     体力は問題ないにしろ、根気という意味では限界が近いのだが…」




ss20170617_231443.jpg
受付嬢「おぉ、そなたか久しいな。見ない間にイメチェンでもしたのか?
    可愛らs「どいつもこいつもそればっかか!」

エラトス顔11
エラトス「俺の外見は良いんだよ本題だけ聞かせてくれ頼むから時間ねぇんだよ…
     ……あぁ、そう、知らない。わかった、ありがとな。
     カナデ、ここもハズレだ行くぞ」

カナデ顔6
カナデ「あ、うん…(気力が限界だったんだね…)」



……………

………







ss20170617_232218.jpg
エラトス「これまでの経験でいけば、誰かしらは情報を持ってると思ったんだがな…
     空振りばかりで悪いな。
     鎧だって重いだろうに、歩き続けで疲れただろう?」

カナデ顔9
カナデ「んー…まぁ、ちょっぴりね?
    でも今日は誰かと一緒だから、むしろ楽しいよ!」

エラトス顔10
エラトス「ハハッ、元気だなぁ。
     誰かと一緒に過ごすのは好きか?」

カナデ顔3
カナデ「うん、それはモチロン♪
    誰かと一緒に笑うのも、誰かの為に歌うのも、
    誰かに笑顔を貰うのもぜーんぶ大好きよ!
    私を私らしく受け入れてくれる皆が大好きだよ♪」

エラトス顔9
エラトス「自分らしさ、かぁ………。
     アイツは今、自分らしくいられているのだろうか

カナデ顔1
カナデ「アイツって?また例の家主さんのお話?」

エラトス顔9
エラトス「おぉう、聞こえてたのかよ耳いいなホント…いや、今回は別の奴。
     音階に捉われながら、自分らしさを求めし者の話さ」

カナデ顔9
カナデ「! 音階ってことは、その子は歌を歌うのかな?」
 
エラトス顔13
エラトス「少し違うんだが………よし。
     休憩ついでに、少し物語を語ってやろう」

カナデ顔1
カナデ「もの、がたり?」

エラトス顔9
エラトス「そう…音色を心に、淋しい時の流れを糧に今を動く、小さな人形の
    『フィーネに始まる嬉遊曲(ディヴェルティメント)』さ………」

















エラトス顔13
エラトス「………こうして、無事解決しましたとさ。おしまい、ってな」

カナデ顔9
カナデ「不思議なお話だね。不思議で、でも優しいお話」

エラトス顔9
エラトス「…さて、そろそろ再開するか依頼人よ。
     かれこれ数時間経ってるからな、手掛かりだけでも見つけねぇと…」

カナデ顔3
カナデ「はーい」





カナデ顔9
カナデ「ねぇ、店主代理さん」

エラトス顔9
エラトス「……………あ、俺のことか(店主代理さん…)
     どうした?」

カナデ顔10
カナデ「この仕事が解決したらさ、もし良ければだけど
    あのお話の子、会わせてもらうことって出来るかな?」

エラトス顔9
エラトス「あぁ、タイミングさえ合えば可能だぞ?」

カナデ顔3
カナデ「ホント?じゃあ、会ってみたいな!
    音楽が好きな子みたいだから、きっと仲良くなれると思うんだ♪」

エラトス顔15
エラトス「おー、交友関係が生まれるのは良いことだ!
     アイツももっと広く繋がりを持ってほしいからなー」

カナデ顔5
カナデ「…ちなみに、その子って女の子?」

エラトス顔9
エラトス「んー…ボディは「なにも付いてない」ってことで、
     一応は女子ってことにはしてるが…」

カナデ顔1
カナデ「可愛いですか」

エラトス顔12
エラトス「Σぅへ…!!?
     あ、あー………ど、ドウダロウナー、ヒトニヨッテ、ソレゾレダモンナー
    (なんだコイツ、目が真剣と書いてマジと読むやつじゃねぇか)」

カナデ顔2
カナデ「ふふふ、最悪の場合は可愛くしちゃえばいいよね♪
    よーっし、捜索再開!がんばろーっ!!」

エラトス顔12
エラトス「(神は全て知っている…だが、今のは知りたくなかったぜ…女子怖い)」















ビブリア顔2
ビブリア「えー………」

エラトス顔2
エラトス「あー、うん、そういう奴なんだよ…」

ビブリア顔2
ビブリア「んっと………い、一途ってことで」

エラトス顔2
エラトス「物は云い様だな」





(つづく)

不思議の街の、少女と神、と…?

「………こうして、無事解決しましたとさ。おしまい、ってな」

「不思議なお話だね。不思議で、でも優しいお話」

「…さて、そろそろ再開するか依頼人よ。
 かれこれ数時間経ってるからな、手掛かりだけでも見つけねぇと…」







行く人、来る人、お暇な人

是非是非足を止めて

お聞きになってくださいな。


此度語りますは歌い手の物語。

人々に音楽を届け、想いを奏でる

守護せし者の物語でございます…


…………………

………









<かれこれ数時間前>


ss20170405_010946.jpg
「それではダンビュライト、本日も宣伝業務へ赴きたいと思います」

パタパタパタパタッ…


「おー、ゼンマイが切れる前に帰って来いよー。
 …俺も、店の準備でも始めるかー…しかし、」



エラトス顔13
???「やっぱりこの身体、落ち着かねぇなー…」

エラトス顔9
???「…ん?あぁ、ブログをご覧頂いている信者諸君に説明しよう。
    まず、今お前達に語り掛けているこの黒い髪の子供、
    …お察しの通り、神様ことエラトスだ。
    イメチェン?いやいや、そんな軽い気持ちで子供の姿になって堪るか」





ss20170821_235743.jpg
エラトス「とある冒険者は、世界を救う為に戦った。
     そんな冒険者を救う為に、人々は想いを束ねた。
     しかしながら、冒険者は少々特殊だった為に
     今のままでは想いを受け取ることが出来なかった。

     冒険者の生命と、人々の想いを無駄にするわけにはいかない。
     そこで俺は、自ら仲介役として冒険者へと皆の想いを送り届けた…」





エラトス顔13
エラトス「だが予想以上に想いの力は大きく、また受け渡す為のエネルギーも膨大。
     力をかなり浪費してしまった俺は、力の安定値までの回復まで
     最低限の可視化を保てる程度に顕現することにした。
     …要するに、省エネモードってこった」

エラトス顔10
エラトス「ちなみに俺は、元々は闇の色素を取り込んだ黒髪でな。
     回復までは容姿に割り振る力も抑えたいところなもんで、
     諸君の見慣れた金髪モードは少しお休みするぞ。
     まぁ、違和感なんて最初だけだ。その内に慣れるだろうぜ?」

エラトス顔9
エラトス「…しかし、アイツは何処に行っちまったんだろうな。
     早く帰ってこいよ………なぁ、ビb」

チリンチリーンッ

エラトス顔14
エラトス「ヘイらっしゃーいっ!勝手に上がって来てくれーっ!!」




カタンッ
ss20170308_194737.jpg
???「…お邪魔します」

エラトス顔15
エラトス「おーおー、よく来たな!
     …ん?なんだお前、守護魔の類か」

カナデ顔1
???「え?う、うん…。私は音楽の守護魔カナデ…
    えっと………あの、大人の人は誰かいるかな?」

エラトス顔11
エラトス「オイそりゃどういう意味…って、今はこんな姿だったか…。
     人間ってのは面倒だな…少しだけアイツの気持ちが分かったぜ

カナデ顔6
カナデ「あの…聞こえてる、かな?」

エラトス顔13
エラトス「まず言っておくが、こんな見た目でも成人は迎えてるからな?
    (まぁ、人間の年齢に換算するともはや老人すらも超えてるけどな)」

カナデ顔7
カナデ「Σえぇ!?っあ、えっと、あの、ご、ごめんなさい…」

エラトス顔9
エラトス「間違えるのは仕方ない。素直に反省してるなら、それで良い。
     それより立ち話もなんだからな、好きな席に座れよ」

カナデ顔4
カナデ「うん…失礼しまーす…」




ss20170617_232409.jpg
エラトス「さて、改めましてだ守護魔カナデよ。
     ようこそ、リベルタス堂へ。俺は店主代理のエラトスだ。
     今は店主が不在でな、俺が代わりに話を聞こう」

カナデ顔1
カナデ「このお店は、普通のクエストカウンターでは取り合わないようなお願いでも
    手伝ってくれるって聞いて来たんだけど…ですけど」

エラトス顔9
エラトス「無理に敬語でなくて良いぞ?話しやすいように話すが良い。
     次に質問の答えだが、大まかにはその認識で合ってるぞ。
     正確にはいくつかルールがあり、そのルールに従って依頼とする」

カナデ顔1
カナデ「ルールって、お金とか?」

エラトス顔13
エラトス「まぁ、それも含まれるな。
     金の場合もあるが、当店から依頼人に請求する報酬は
    『依頼を担当した職員』が『依頼人に求められる範囲の物』で
    『双方が妥当と判断、納得した物』であること。

     世の中には、金銭不足で依頼を頼みたくとも頼めない、
     相場が分からない、金を使えない理由がある、
     …なんて、色んな理由を抱えてる奴も多いからな。
     そんな連中への救済処置として、リベルタス堂の依頼料は
     金に限らず衣服なり食材なり、家事の代行なんかでも
     依頼人と職員が納得さえすればOKって訳だ」

カナデ顔9
カナデ「あ、それならちょっと安心だね♪
    私も、あんまりお金持ってないから不安だったんだぁ」

エラトス顔9
エラトス「だが、どんなに依頼料が良いものであろうと、此処での依頼は
    『あくまで我々が引き受けることが出来る』と判断したものに限る。
     俺達だって万能じゃねぇからな、出来ないことは出来ないぞ?

     だが、逆を言えば「出来ることは何だってやる」…それがこの店さ」

カナデ顔1
カナデ「へ、へぇ…(なんだろう…一瞬だけど、ちょっと不気味な雰囲気…)」

エラトス顔13
エラトス「そしてお前は運が良いぞ、守護魔カナデよ。
     他の職員が公休だったり出払ってたりで不在な中、
     土地神であるこの俺が担当するんだからな。
     2足歩行ロボに乗った気で、ドーンと安心するが良いぞ」

カナデ顔1
カナデ「(あ、この人ウヅキさんと同じタイプの人だ)」

エラトス顔9
エラトス「おっと、そういえばまだ依頼内容を聞いてなかったな。
     今回はどういった要件で?」

カナデ顔6
カナデ「うーん…探し物、かなぁ?」

エラトス顔9
エラトス「探し物?何か無くして、それを取り戻すタイプか?
     それとも、何か持っていないものをを求めてるタイプか?」

カナデ顔9
カナデ「多分、後者だと思うよ。求める…なんて、大袈裟なものじゃないけど、
    少し気になることがあるの。
    で、それについて調べるお手伝いをして欲しいんだ」

エラトス顔15
エラトス「あくまでも依頼は助力であり自身が率先して動くその姿勢、
     実に良いことだ。
     よし、詳しい話を聞こうじゃないか」

カナデ顔3
カナデ「ありがとう♪じゃあ、少し聞いてくれる?」



カナデ顔1
カナデ「私がこのアクロポリスにやって来たのは、つい1週間前なの。
    街で私にそっくりな子を見掛けたことがあるかもしれないけど、
    その子と私は、似てるけど別人だからね?

    私、こんな大きな町に来るのは初めてだったから
    観光も兼ねて、その日は街を見て回ってたの。
    そうしたら…夕方くらい、だったかな?
    不思議なが聞こえたんだ」

エラトス顔9
エラトス「音?」

カナデ顔1
カナデ「うん。私は音楽の守護魔だから、音には敏感なんだ。
    その音が聞こえて来た時、私は街の西側に居たの。
    何の音だろう?って、気になって駆けつけようと思ったんだけど、
    音が聞こえてくる方向…街の中央だったと思うんだけど、
    向かってる途中で音が止んでしまったの。

    到着した時、辺りを探してみたんだけど…」

エラトス顔13
エラトス「それらしき人物も物も、何も無かったと」

カナデ顔3
カナデ「ううん、むしろ楽器を持ってる人がいっぱい居たよ♪
    私が聞いた音じゃなかったけど、皆で演奏会もしたの!」

エラトス顔11
エラトス「そっちかー

カナデ顔6
カナデ「それで、だよ?
    その次の日、お昼頃からまた同じ場所を探してみたの。
    そうしたらその最中、今度は街の南側からその音が聞こえてきたんだ。
    急いで向かったんだけど、やっぱり音はすぐに止んでしまって、
    その場所には…何も無い、じゃなくて、人も物もいっぱいで、
    それらしきものが見つけられなかった。

    でも私、諦めずに毎日街を探し回ったんだから!
    だけど………流石に1人じゃ限界だよぉ」

エラトス顔13
エラトス「ふーむ…概ね把握したぞ。
     依頼内容は「正体不明の音の捜索」、その手助けだな。
     それに伴って確認するぞ?
     まず、その音が聞こえたのはアクロポリスにいる間だけだったか?
     街の外に出た時にも聞いたりは?」


カナデ顔1
カナデ「うーんと、多分…街の中でだけだと思う。
    何度か外も探してみたけど、聞こえてくるのはいつも街の中からだったもの」

エラトス顔9
エラトス「なるほど。大まかに言えば、範囲は街の中に限定される、と。
     その音ってのは、時間帯はバラバラみたいだが
     毎日聞こえてたのか?」

カナデ顔2
カナデ「あくまで私が来た日から、だけど、毎日だよ。
    そこはしっかり覚えてるから、まかせて欲しいな♪」

エラトス顔9
エラトス「ふんふん………場所はアクロポリスに限定され、
     時間帯は不規則、期間は毎日、と………。
     カナデ、お前の他にその音を聞いた人間は?」

カナデ顔4
カナデ「んー…それが、私以外だーれも聞いてないんだって…。
    空耳じゃないかって…そんなことないもん(プーッ」

エラトス顔9
エラトス「もしかすると、耳が余程よくないと聞こえないくらい小さいのかもな。
     だとすると、尚更アイツの方が適任かもしれねぇなー…
     ま、居ない以上は仕方ねぇ」

カナデ顔1
カナデ「不在だっていう、店主さんのこと?」

エラトス顔10
エラトス「おぅ。俺達の店主で家主の、眠り姫気味な神の愛娘さ。
     そいつも耳が良くってな………その話、今は置いておかないとな。
     まずは依頼を進めようぜ?」

カナデ顔5
カナデ「ふふ、じゃあ落ち着いたら聞かせてもらおうかな、その眠り姫様のこと♪」

エラトス顔9
エラトス「それは構わないがカナデ、俺は大事なことを聞いてなかったぞ。
     そもそも、お前の聞いたっていう音、それはどんな音だったんだ?」

カナデ顔3
カナデ「すっごく不思議で、とっても綺麗な音!」

エラトス顔11
エラトス「答えになってない、やり直し」

カナデ顔7
カナデ「Σあぅっ!
    え、えーっと…あんな音、私も初めて聞いたから
    上手く例えられないよぉ……………あ」

エラトス顔9
エラトス「何か思い出したか?」

カナデ顔1
カナデ「うん。不思議な音にばかり気を取られてたけど、
    その音が聞こえる時、必ず一緒に弦の音がしてた筈だよ」

エラトス顔9
エラトス「弦、というと楽器に付いてるワイヤーみたいなアレか?
     ギターとかに使う、あの…」

カナデ顔10
カナデ「そう、それ。何か心当たり、あるかな?」

エラトス顔12
エラトス「いや、あり過ぎて困ってるっつーの。
     お前それ、ウァテス系SUほぼほぼ全員に該当するからな?
     あの職業の専用武器は楽器、
     それもギターやハープといった弦楽器がほとんどだ。
     加えて、街に滞在してるウァテス系の冒険者なんて数知れず…
     範囲は狭いようで、その数は膨大だぞ」

カナデ顔4
カナデ「そんなぁ…じゃあ、見つけるのは無理、かな…?」

エラトス顔13
エラトス「…いや。多少時間は掛かるだろうが、
     最低でも手掛かりくらいは見つけられるだろう。
     俺の知り合いに、演奏家な先輩や音楽好きの同級生、
     不思議な現象に詳しい後輩なんかもいる。
     その辺りを筆頭に、まずは聞き込みから始めるか」

カナデ顔9
カナデ「! うん、私も頑張るね!」

エラトス顔15
エラトス「そうと決まれば、善は急げだ!
     あくまでも俺がするのは手伝いだからな、
     気合入れて頑張れよー!」

カナデ顔8
カナデ「んっ♪期待しててよね!」



 














エラトス顔6
エラトス「一旦スタジオに返しまーす!」

ビブリア顔4
ビブリア「スタジオって何!!?」




(つづく)「Σこの流れで!?」
 

STORY PALLET~サイド:オレンジ~           フィーネに始まる嬉遊曲(ディヴェルティメント)

それは数年前の出来事。
小さな町の小さな作業小屋。
そこに、人形職人の老人が1人住んでいた。

ある時、老人は1体の人形を作り上げた。
薄らとグリーンの掛かった長い髪に蒼い瞳、
白く細い身体と不釣り合いとも取れる、背中に着いたゼンマイ。
不思議な雰囲気の、しかしそれ以上に美しい人形でした。
その人形には特殊な仕掛けが施されており、身体の中央に
七色に映える鉱石で作られたオルゴールが組み込まれていた。
背中のゼンマイを回すことで奏でられるその音色は、
これまで聴いたことのない程にとても美しかった。
その音色に、その人形の美しさに、多くの人々は虜となった。

人形を求め、多くの人が老人を訪ねました。
しかし、どんなに大金を積まれても、老人は人形を手放そうとはしなかった。
「私はこの子の音色を聴きながら静かに暮らしたい、この子もそれを望んでる
 どうか私達の生活を邪魔しないで欲しい」
まるで人形が生きているかのように老人は語る。
人々は次第に、老人を「変だ」「異常だ」と批評し、見放すようになった。
しかし老人は気にしてはいなかった。
毎日毎日、人形の奏でる音色を聴きながら、
老人は幸せな毎日を過ごしていた。

しかし、そんな生活も長くは続かなかった。
数年が経ち、老人が、その人生に終焉を迎えたのだ…。
その事実を知った人々は、なんと愚かで醜いことでしょう。
老人が大事にしていたあの人形を、手に入れようと争います。
自分の物だと言わんばかりに、人形を強引に奪い、また強引に奪います。
そんなことを繰り返せばどうなるか。

元々繊細な作りの人形は、ひび割れ、綻び、砕け落ちる…。

「貴重な人形だったのに…」「惜しいものを失った」「勿体無い」
「どれだけ価値あるものだったことか」「あんな名品はもう2度と現れないだろう」
人々は口々に言います。
自分達の愚かさが招いた結果だというのに。
己の罪深さを棚に上げ、さも被害者かのように。
何も分からず、知らず、それなのに分かったように、知ったように。
そして決まってこう言いました。

『所詮はただの人形だ』





物云わぬ壊れた人形は、静かに横たわります。
このまま雨に打たれ、風にさらされ、誰にも知られぬままに風化していく。
その筈だった。

『消えるには惜しいな…』

その声は、何処からともなく聞こえてきました。
辺りが眩しい輝きに包まれたと思えば、
人形の目の前には1人の人物が。
黒い髪をなびかせ、紙の面で素顔を覆い、
不思議な輝きを身に纏うその姿は、とても異様なものだった。
『心残りし人形よ、貴様は未来を望むか?』
宙を漂うその人物は、物言わぬ人形に語り掛ける。
『貴様の輝きは、消すには惜しい。
 故に、神は選択肢を授けることとする』
そう言うと、眩い輝きに包まれる人形。
そして人形は、水を掬うかのようにその手に納まっていく。
『あくまで、これは神の気まぐれだ…どうするのか、決めるのは貴様である。
 天へと昇り、安らかな眠りを望むのなら、このまま天を目指すが良い。
 未来を…新たな身体への転生を望むのなら、この神に意識を委ねるが良い。
 ただし、その場合は対価を失うこととなる…
 そこを踏まえた上で選択するが良い、人形よ…』







創られた器は、他の人形とは違っていた

組み込まれた音階

それを奏でること、それが存在理由

理由をくれたことが嬉しかった

理由をくれた人がいて、その人の為に出来ることがあるのが幸せだった

あの人の為に、その音色を聴かせてあげられれば良かった



ただ、それだけで良かったのに









「…だから…と…」
「じゃあ…で…かな…」
「………ぁ」
「あ、起きた」
(こ、こは…この感覚、ひんやりとした…身体、がある…?
 思った通りに動く…声も、出せる…)
「…!」
「あぁ、ごめんね驚かせちゃった?」
(紅い、髪…赤い瞳と、金色の瞳…宝石みたいで、綺麗…な、人…?)
「…?」
「状況が呑み込めてないって感じだね…」
「まぁ、仕方ないよなぁ…元々は人形で、気付くと自由に動く身体はあるわ、
 目の前に知らない人間がいるわ、予想外が多過ぎて処理も追い付かないってもんだ」
(何を話してる…?この人は…新しい持ち主…?)
「…状況、確認」
「?」
「当機の所有者権限の白紙化、及び権限登録の開始を確認。
 登録完了まで残り12秒…7秒…3秒…」
「え、えと、えー…何事?」
「さぁ…DEM素体で組み上げたからか…?」
「…登録完了。外見認証、オールクリア。声帯認証、オールクリア。
 所有者権限、受理されました」
「「……………はい?」」
「新しい所有者様、ご自身のお名前を始めとする情報登録、
 並びに当機の名称の登録をお願い致します」
「…え?あ、私?」
「はい」
「えーっと…ねぇ、神様」
「んー…元々、こいつは持ち主の為に動くことを生業としてたからな。
 本能的に持ち主を求めるんだろう。
 加えて、DEMの身体を依代にしたからか?
 機械的な、命令という信号の受理を求める想いが強まったんだろうな」
「で、それで何で私が所有者になっちゃった訳?」
「ふむ…外見認識、ということは…かなりザックリ言っちまうと、
 雛鳥が最初に見た生き物を親だと思い込む「すりこみ現象」みたいな感じだろうな」
「なんでそこはそんなに動物的なのさ…」
「情報の登録をお願い致します、所有者様」
「あーもー、何が何だか…とりあえず、自己紹介ってことで良い?」
「自己…?」
「まず、私はビブリア。こっちの浮かんでる金髪さんは神様…もとい」
「俺は土地神のエラトスだ。…まぁ、この名前はあくまでこの姿での話だがな」
「…登録。所有者様改めビブリア様、並びに関係者のエラトス様ですね」
「神様でもいいぞ!」
「かしこまりました。神名…エラトス神で登録修正致します」
「エラトスはあくまで偽名的なアレなんだが…まぁ、許す!」
「やめなさい。それより、いい加減この子に」
「当機の名称の登録をお願い致します」
「あ、はい。…名称って、名前のこと?」
「だろうな。何か付けてやれ」
「無責任か!えぇー…んー…名前ねぇ…んんー…………あっ」
「思い付いたか?」
「うん。この子の…心臓部だっけ?あのオルゴール」
「鉱石で作られた特別製のな」
「その石の名前からそのまま『ダンビュライト』でどうかな?」
「お、なんかカッコイイな」
「よし、じゃあキミの名前はダンビュライト…あ、でも長い?
 愛称としてダ…ダン…ダ、ビュ…ビュート、うん。
 ビュートちゃんでいこう」
「登録、確認…機体名『ダンビュライト』及び『ビュート』登録しました。
 これよりダンビュライト、ビブリア様の命令に従います」
「その前に、だ。ダンビュライト」
「なんでしょう」
「俺はお前に話さなければならないことがある。その責任もな…
 少し長くなるが、まずはこう切り出そう」


「ダンビュライト、お前はもうあの音色を奏でることは出来ない」



「…発言から得られる情報の不足により、理解不十分。詳細を求めます」
「今、お前を動かす心臓部、モーターと言い換えても良いだろう。
 そこにはダンビュライト石で作られたオルゴールを組み込んだ。
 しかし、お前の心臓部はモーターとして機能させることは出来ても
 オルゴールとして音を発し、それを周囲に届くだけ拡散することは出来なくなった。
 …もう、お前は音色を奏でられない。そう言っただろ」
「発言内容の理解を確認。同時に、その経緯に関する情報共有を望みます」
「お前は元々、組み込まれたオルゴールを奏でることが役目だった。
 しかし、不幸にも壊れたお前は朽ち果てようとしていた…。
 そんな時、俺はお前を見つけた。
 このまま朽ち果て、消え去るのは惜しい。
 そう思った俺は、お前の想いと魂に語り掛け、ある選択肢を与えた」
「…理解、不能」
「その選択肢として、お前は転生…魂はそのままに、新たな身体へと生まれ変わった。
 …だが、本来なら自然の摂理に則り行われるのが転生だが、今回は違う。
 魂を保護し、その魂を元の身体に近しい機械の身体に移し替えた…
 言ってしまえば器の交換を行っただけだ」
「そこは私も気になってたんだけどさ…どうして、そんな手間な方法を?
 同じような身体を用意するくらいなら、元の身体を治してあげるか、
 それこそ、全く違うエミル族へのちゃんとした転生だって出来た筈」
「まず1つ。俺はあくまでも土地神だ。
 土地の守護やそこに生きる者を導くことは出来る。
 その気になれば、病気やケガの治癒だって出来るさ。
 だが、本来の守護せし土地でないことに加え、『生きて』いる訳ではない。
 そんな存在の身体の修復なんてのは、生みの親でない以上は無理ってもんだ」
「そう、なんだ…」
「2つ。それでも、人間として生まれ変わるよう誘導することは出来た。
 が、そうはしなかった。
 その理由としてはコイツが…ダンビュライトとなる前、
 選択肢への問い掛けに返した望みが影響してるだろうな」
「望み…?」
「確か…あぁ、そうだ。こう言っていたな」

『こんな終わり方は嫌だ。
 人形として、人形のまま、人形らしく終わりたい。
 もう1度、人形として、どうか…』

「! お前、覚えてるのか…?」
「不具合、発生…データの白紙化の際…過去の記録は、消去…
 それなのに、この…音声データは、何…?
 発言の信号も、出してない…なのに、どう…して…」
「おい…?」
理解、りかr、フ、hふの、不能、不能、のののノのn
 シスsテてテてtテテ、エラー、発生はっせs、ハッセイ、エrラーえらerエ、ラ

「ビュートちゃん…!ビュートちゃん…!!」
「参ったな…『心』の信号に『機械』としての処理が反応できなかったか…
 このままだと、エラーによるオーバーヒートで暴走するぞ」
「暴走ってそんな…」
「エラー、eエeeエラ、エラー、エラーエr、エラー、エラーエラー…」





(覚えてる、ことは、大した問題じゃない…

 もう、奏でることは、叶わない…

 なら、何の為に、生きて、いる…

 それだけが役目で、理由、だったのに…

 それが出来ない、のなら、


 こんな人形に、何の意味がある…?





「エラー、eエeeエラ、エラー、エラーエr、エラー、エラーエラー…」
「仕方ない、このまま暴走する前に無理矢理にでも停めるか」
「停めるって…」
「安心しろ、壊すようなことはしない。
 電源落として、落ち着くまで気絶させるだけだ」
「でもっ…」
「いっそ…こわ、して、く…ぁ…」
「!」
「何を…」
「役目を、果たせな、い、人形は、価値なん、て、ない…
 それな、ら…ひ、がぃ、軽微、の為にも、こわし…」
「お前が落ち着きさえすれば解決する話だ、馬鹿を言うな!
 今はまだ、慣れない状況や未知の情報に追い付けてないだけだ、
 これから慣れていけばそれでいい!!」
「k価値が、カチ、価値がない、な、ないn、価値が、
 りりり理由、理由が、りrゆ、当機、ryりゆyゆゆ、ゆ、かkkかかかkか」
「理由と、価値…」
「全く、心はあっても機械は機械か…
 少し酷だが、ここは」
「…そういうことか」




ガキィンッ…!!



「なっ…おい!!」
「そ、そんs、損傷…確認、kかkkかく、心臓部付近、ぶb、破損ははそはh…」
「そんなに死にたいなら好きにすればいい、止めやしない。
 決めるのはキミ自身だ、その命をどうするのかは勝手だよ。
 方法が分からないっていうなら、このまま私の手で…」
「ビブリア…お前…」
「あ、がっ…が…っ」
「…ねぇ」


「本当のキミは、どうしたいのか教えてよ」


「ぁ…ほ、んと、の…?」
「キミの言葉は冷たいんだよね。酷いんじゃない、冷え切ってしまってる。
 理由も、価値も、それはキミの言葉じゃないだろ?
 キミの言葉でもないものに振り回されて、本当に死を望む?
 人形でも道具でもない、キミの心はどうしたいんだい?」
「こ、ころ…」




(どう、したい…?

 人形として、じゃない…自分自身が、どうしたいのか…

 何を、思ったのか…

 どうして、生きたいと、願ったのか…何で…)




「……ぃ」
「?」
「…あのまま、奏で続ける、毎日で、幸せだった…
 でも、壊されて、捨てられて、終わるのが、嫌、だった…
 もっと、もっと…自由で、いたかった…
 もっと…生きた、い…自分らしく、生きたい…!」
「…」

ガチャッ…

「それで良い。それで良いんだよ…。
 道具とかじゃない、キミらしく自由に、思ったままに生きれば良い。
 許されたから、だからキミは此処にいる。
 理由なんてそれで良いのさ、生きる理由はね」
(あぁ…暖かくて…柔らかくて、いい匂い…これが、人、なんだ…
 これが、生きてるってことなんだ…)
「生きていたい…自由でありたい…自分らしく、ありたい………!」
「うん…うん…これから始めていこう。ゆっくり、少しずつね…」




「…スリープ状態も継続されてるし、熱も納まってきたな。
 朝には元の落ち着きを取り戻せるだろうな」
「そう、良かった」
「オーバーヒートの危険性を考えると、少し改良が必要だなぁ…
 ボディを金属から木製に変更できないか試してみるか」
「あぁ、いいね。その方が元の身体により近いだろうし。
 中も、木製の歯車とかに出来ない?あ、でも壊れやすいかな?」
「それより、いきなり紅剣を構えた時はどうなるかと心配したぜ…」
「脅す勢いじゃないと聞く耳持たないかと思ったからね。
 結果として解決したから良いよね?」
「だからってお前、刺すことはねぇだろ…」
「自分はネギで停めようとしてたじゃん、それよりはマシってもんさ」
「なにをー!ネギスピアだって立派な武器だぞ!」
「でもネギだよぉ?こう、雰囲気と言うかさぁ…」
「~~~!」
「ーーー」
「…」













おじいさん、聞こえてますか?

貴女に作られた人形は、

一度の死と、二度の生を繰り返し、

今もここで動き続けてます。

貴方の好きだった音色は、もう奏でることは叶わない。

それでも、我儘を言わせて下さい。

姿形は変わっても、貴女に作られた人形として、

そして同時に…これからはダンビュライトとして、



「本日も、ごきげん麗しゅうございます♪」



今後のリベルタス堂について

ビブリア顔1
ビブリア「えー…お恥ずかしながら、帰って参りました。
     私としては、長い戦いから。ブログとしては、連載再開という意味で」

エラトス顔1
エラトス「おー、身体はもう大丈夫そうだな。うん、良かったよかった
     ブログ再開については、まぁ…やっぱりそれなりに心身ともに
     ショックによる影響が出てたってことで」

ビブリア顔2
ビブリア「前みたいな意欲が出にくくなった、というのはあるだろうね…
     それでも、元々このブログの本分である
     『書きたい時に書きたい話を書きたいように書く』
     その想いはあるのなら、より好き勝手やれば良いかなって」

エラトス顔7
エラトス「割り切ったと。それで良いさ。好きなようにするのが良い
     お前の…んー、中の人のって方が正しいんだけどな
     その目に映り、色付き、再生された物語を綴ればいい
     それが1番「らしい」のなら、その世界で俺達も動くだけだ」

ビブリア顔1
ビブリア「私達が私達らしく、それはどうやっても私達にしか語れないからね
     望むことも多いけど、自分がまず指示さないと
     誰も手なんか差し伸べてはくれないもん
     その為には、今まで以上にドッタンバッタン大騒ぎだよー」

エラトス顔2
エラトス「お前、け〇フレ見てないだろ?」

ビブリア顔7
ビブリア「しっかり見てないだけで一応はストーリー知ってるもん!
     あの黒いオッドアイなキツネさんはキャラデザ好み!!」

エラトス顔2
エラトス「あー、はいはい。その話は家に着いてから付き合ってやんよ…
     全く、お前の喜怒哀楽は奇想天外っつーか
     空気読まない?読めない??どっちだっつーの」

ビブリア顔2
ビブリア「こんな右も左も同じ景色を延々と抱っこされながら浮遊してたら、
     流石に飽きてテンション無理矢理にでも上げないとやってけないっての
     …これ、いつになったら元の世界線に戻れるの?」

エラトス顔1
エラトス「まだ掛かるだろうなぁ。いくら俺でも、平行世界の移動は
     そこまで経験ないからな。流石に距離感が掴めんぞ
     そもそも、平行世界に飛ばされるってだけでも大事なのに、
     それを2回3回と繰り返しやがって…」

ビブリア顔2
ビブリア「皆無じゃねーのが凄いよ…。というか、私の意思じゃないもん
     あんな真実、できることなら触れないままで居たかった想いはあるし…
     まぁ、結果として解決したし、その後は素敵な出会いもあって、
     こうして迎えも来てくれたから良いんだけどさ」

エラトス顔1
エラトス「俺が土地を司る神じゃなかったら、お前あのまま
     帰れなかったかもしれないんだぞ全くよー…
     神っつっても、出来る出来ない得手不得手はあるんだ、
     もっと緊張感持ってくれー頼むから」

ビブリア顔3
ビブリア「神様なら来てくれるって分かってたんだもの、
     なにも不安がる必要なんて無いよね♪」

エラトス顔7
エラトス「…まぁ、な。土地、つまりは空間を管理する神であることは
     随分前に教えてるからな。空間転移は何度もやってるし、
     そりゃ確信にもなるか…」

ビブリア顔4
ビブリア「私、神様のことをそれだけ信頼してるって意味で言ったのにー…(ムスー」

エラトス顔1
エラトス「そういや話題を戻すが、今後のこのブログはどういった方針になるんだ?
     アイコン…は、結局俺とお前は変更なしだよな?」

ビブリア顔1
ビブリア「イメチェンを試そうとしてみたけど、現状では
     この格好が1番しっくりくるって結論になったからね
     あ、でも神様はただの撮影忘れだよ?」

エラトス顔5
エラトス「Σうぐっ…!!くそぅ…折角のジャケットVer.で
     カッコよく決める筈だったのに…白衣とか元の姿のは撮ってて
     何でそこは無いんだよっ!!」

ビブリア顔2
ビブリア「まぁ、そのフリルが1番ってことで。それに、今後は公式ではないけど
     こういうの着たい、みたいな服を自由に着れるんだしさ。怒らないの
     私だって、欲を言えば色々着たい訳だしさ…」

エラトス顔2
エラトス「だがビブリアよ、自由に着れるとしても、
     それは俺達自身や脳内映像の流れる中の人にしか見えないだろ?
     他者に読んでもらう以上、その場合はどうなるんだ?」

ビブリア顔1
ビブリア「そこなんだけどね、正直はところ中の人は画力低いよね」

エラトス顔2
エラトス「お、おぅ…?」

ビブリア顔1
ビブリア「描いて下さい!なんて頼める訳はないし、そんな人望ないし」

エラトス顔2
エラトス「どうした、中の人の負の感情でも取り込んだか…?」

ビブリア顔1
ビブリア「黙って聞け。それでもさ、どうしても「ここはこうなんです」みたいな
     イメージが欲しいのなら、それはもう…自給自足だよ
     下手でも、それは今に始まったことじゃないし、そもそも好き勝手やるなら
     好き勝手に絵も描いて載せたっていいじゃない!…って、具合だよ」

エラトス顔2
エラトス「ちょっとヤケクソ気味じゃねーかよ…ラノベの挿絵みたいな感じか?」

ビブリア顔1
ビブリア「かなー…?マンガの1シーン風だったり、図解風だったり、
     そこは入れたい映像によって変わるだろうから何とも…
     でもさ、やっぱり…自分の描いた夢物語を創りたいんだって
     どんなに酷い出来だとしても、頑張れる時は頑張りたいって」

エラトス顔7
エラトス「ふぅん…いいんじゃないか。そう思えるのなら
     自分で「やりたい」と感じたのなら、心から楽しんで取り組め
     俺達はそのレールを走るだけってな…」

ビブリア顔2
ビブリア「…あと「今後は今まで以上に時系列や時期やテーマなんか
     好き勝手に書きたいとこだけとかでも載せてると思う」
とか、
     「うちの子×パートナーな話も増やす…」これについては
     私も問い質したいし、「アイコン省く率増えそう」とか言ってたね」

エラトス顔4
エラトス「ぅおいっ!!アイコン省くのかよっ!!」

ビブリア顔2
ビブリア「書きたい内容によっては無い方が雰囲気出るし、あと付けるの面倒って」

エラトス顔8
エラトス「そっちが本音だろうが絶対よぉ…」

ビブリア顔1
ビブリア「でも、それで更新頻度が増えるなら良いと思うよ?
     私達も働かなきゃだし…って、まずは元の世界に帰らないと
     いけないんだった。ねぇ、まだ着きそうにない?」

エラトス顔2
エラトス「ふむ…空間の流れは分かって来たし、もう少しすれば
     空間の出口に向かえそうだぞ」

ビブリア顔5
ビブリア「んー…でも、本当にずぅーーーっと同じ景色はなぁ…
     私の話のネタも尽きちゃったし…」

エラトス顔1
エラトス「…よし。なら、お前が行方不明の間の話でもしてやろう
     リベルタス堂、臨時の活動報告ってな」

ビブリア顔1
ビブリア「え、何かあったの?」

エラトス顔7
エラトス「まぁな。では、こう語り始めようじゃないか

    『行く人、来る人、お暇な人
     是非是非足を止めて
     お聞きになってくださいな。

     此度語りますは歌い手の物語。
     人々に音楽を届け、想いを奏でる
     守護せし者の物語でございます』
…なんてな」








~あとがき~

んー…ビブリアと神様が語りました通り、
最近はどうも創作意欲という奴が本当に沸かないもので…。
お陰で更新が不安定極まりない、申し訳ありませんm(__)m

ですが、どんなに不安定でも活動を辞めるつもりは毛頭ありません!
まだまだ完成させてない物語があるのなら、
きちんと語っておきたいものです。

今後は、月に1回も難しいとは思います。
それでも、書けそうな時は色々書いていきたいと思ってます。
未熟な点、可笑しな点、、不満な点、不思議な点、
色んな欠点がてんこ盛りかとは思いますが、
それに負けないくらいの「書きたい!」を込めまして、
今後もちまちま書いていきたいと思います。

それでは、今回はこれにて。次回まで気長にお待ち下さいねー
プロフィール

yamimui

Author:yamimui
エミルクロニクルオンラインの
二次創作小説ブログです。
自己満足で作ったモノなので、
読む際は自己責任で…

荒らしやクレーム等は
ご遠慮下さい!!

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